森が消えれば海も死ぬ

豊饒の海(駿河湾・相良海岸)に打ち上げられた海藻群
私どもは天・海・地の恵み発酵水を
醸造しています。
この発酵水をつくるときになくては
ならないのが、その元になる
「海藻腐植化原料」です。
先日のブログの、
「発酵水の新たな概念」でも、
この原料のことについてはお話しました
が、今日はまたちょっと視点をかえて、
お話しします。
先ず、この原料は海で生育した海藻群が
海岸に打ち上げられて、そこの特別な
環境の諸条件下で、気の遠くなるような
年月をかけて、海と大地の微生物群に
よって常温自然発酵してつくられます。
さらに、それに加えて、天・海・地の
大自然の様々な場のエネルギーが付加されて、
「海藻腐植化原料」がつくられます。
では、その前の一次原料である海藻群は
どのようにして生育し、繁茂していくのか、
というのが今日のテーマの一つとなります。
それは、この発酵水の原料がつくられる
ためには、海だけという環境ではできない
ということです。
海藻が生まれ育つためには豊かな海が
欠かせません。
でもその豊かな「海」は、
海藻を育む豊富な栄養分を運んでくる
「河川」と、その豊かな栄養分を生み
出している「森」とのひと繋がりの
生態系が不可欠なのです。
海と川と森がひと繋がりで、
互恵で豊かな生命が循環していることを
知っていただけたら嬉しく思います。
松永勝彦さんの著書から一部編集して
ご紹介致します。
2020年06月16日 12時25分投稿の再投稿
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奥静(おくしず)を流れる大井川
『森が消えれば海も死ぬ』
松永勝彦著 講談社
海さえあれば、
魚介類は豊富に生育できると考えては
いないだろうか。
海と陸(森林)とは別個のものだと
考えてはいないだろうか。
つまり、これまで私たちは、森・川・海と
いうひと繋がりで生態系を見てこなかった
のである。
また、このことは、陸と海を結びつける
科学があまり発展しなかったことに
つながっているわけでもある。
昔から漁民たちは、
魚介類を増やすためには湖岸、川辺、
海岸の森林を守ることが大切なことを
よく知っていた。
魚を集めるということで、
この森のことを「魚つき林」という。
森の栄養分が海の生物を育てるのである。
日本では
湖、河川、海岸近くの魚つき保安林は
28,000ヘクタール(1992年)で、
これは日本の全森林面積のわずか0,1%に
しかすぎない。
沿岸海域は
外洋水と陸水との混合域であり、
沿岸海域を知るためには、外洋水をはじめ、
河川水、森林の機能などを知らなければ
ならない。
これまで森林、海、地球環境に関する
それぞれの本は数多く出版されている。
しかしながら、三者は密接に結びついて
いるにもかかわらず、結びつけの研究が
されていないため、この関係をわかりやすく
解説した本は出版されていない。
本書の目的は、
森林が海の生物生産と深く結びついて
いること、
森林は私たちの身近な環境においても、
さらに地球温暖化などの地球規模の環境に
おいても種々の役割を果たしていることを
知っていただくことを主眼にしている。
<森の豊かさが海を育てる>
■海の森=海中林
海藻の生育場所を見ると、
種子植物で砂場に生育するアマモを除けば、
岩場にしか海藻は生育できない。
スガモは岩や岩盤に砂泥が堆積した場所で
生育する。
北海道、東北の太平洋側の岩場には
数メートルから中には10数メートル以上
まで生長するコンブが、
本州ではアラメ、カジメ、ホンダワラなど
多くの海藻が生育している。
二枚貝(アサリ、ハマグリなど)は
プランクトンを餌としているのに対し、
ウニやアワビは岩場で生育するコンブ、
カジメ、アラメ、ホンダワラなどの海藻を
餌として生きている。
また、魚によっては海藻にしか産卵しない
種類もある。
例えば有名な秋田県のハタハタは
ホンダワラにしか産卵しないし、
北海道では水揚げが激減し幻の魚といわれて
久しいニシンもコンブやホンダワラなどの
海藻に卵が着床するといわれている。
海藻の密生した状態を海中林というが、
歴史的にみても、海中林は陸の森林の
大先輩である。
陸の森林土中では極めて多種の生き物が
生存しているのと同様に、
海中林でも多種の生き物が生息し、
生態系を維持しているのである。
孵化した稚魚は
成長段階により岸から順に沖にむけて
生活環境を変えるが、
その成長段階でこの海中林が必要である
といわれており、
餌場としてはむろんのこと、外敵、荒天から
身を守るなどの役目を果たしている。
このように海中林は
単にウニやアワビの餌の供給のみならず、
産卵場、稚魚の生育の場として極めて
重要な働きをしている。
さらに、海水の浄化とプランクトンを
増やす役割を担っている。
葉についた汚濁有機物質は分解されて
海水を浄化し、
枯葉は微生物によって分解され、
プランクトンを増やす栄養素を供給する
のである。
また、ウニやアワビなども排泄する
有機物質は、バクテリアにより分解され、
海中林での物質循環が成り立っている
のである。

腐植土
〇森が貧しいと海も貧しく
■生物的風化による腐植土層
森林地帯では枯葉、枯枝が微生物に
よって分解を受け、
これらが破砕された細かい粒土の
鉱物と混合した、
いわゆる腐植土層が形成される。
その上層には枯葉が堆積した枯葉層があり、
腐植土層からの水の蒸発を防いでいる。
この腐植土層の形成が海の生物に極めて
重要な因子となるのである。
微生物が枯葉などの有機物質を分解する
とき、
無機酸(炭酸、硝酸など)や有機酸
(シュウ酸、酢酸など)ができ、
これらが鉱物に作用し、鉱物の分解を
速める。
また、有機物質は多くの金属と結合する
機能を持つ腐植物質を生成し、
鉱物を分解するのである。
この生物的風化が、森林が海に果たす
役割としては一番重要な働きをしている
のである。

〇森と海をつなぐ河川
■コンブの質は河川による
海藻の林、すなわち、海中林が消滅して
しまえば、ウニ、アワビ、魚にまで影響し、
その海域は漁場としての価値が失われる。
次にコンブと森林の関係について述べよう。
コンブは一等から雑コンブまでに分類され
市販されているが、等級はコンブの厚み
とか、黒光りした色つやのよさによって
きまる。
コンブは真コンブ、利尻コンブ、三石コンブ、
細めコンブ、長コンブなど多くの種類が
あり、それぞれの用途によって使い分け
される。
例えば真コンブは、だしコンブとして
最高級品とされているし、煮物用は
三石コンブである。
北海道日高支庁の浦河町に井寒台という
地域があるが、ここのコンブは最高級品と
されている。
この海域には数河川が流入しており、
森林の栄養素が河川を通して海に運ばれ、
コンブの質を高めていることはいう
までもない。
一方、昔は一等コンブの産地であった
海域でも、今日では三等コンブになって
しまった海域もある。
この海域にも河川は流入しているが、
漁師にコンブの質の低下した原因を聞くと、
昔は河川水量も多かったこと、
河川の上流域には豊かな森林があったが、
伐採などの人手が加わったためだと思うと
話していた。
この河川の鉄濃度を測定したが、
日本海側の河川同様低濃度であったこと
から、経験による漁師の勘は正しいだろう
と私は判断した。

■高い沿岸域の生産力
河川が流入している沿岸域の生産力
(プランクトン量)は外洋に比べて
著しく高い。
河川の影響する沿岸域の生産力は400
グラム炭素程度である(1年に平方メートル
当たりの炭素400グラムを生成する)。
生産力とは植物プランクトンの主成分である
炭素が海面1平方メートル当たり、
1年間に何グラム生成されるか、
つまり、植物プランクトンがどのくらい
増えるかという指標である。
この数値が大きいほど、プランクトンは
よく増えるということだ。
函館湾には多くの河川が流入しており、
その湾での主な漁獲物はホッキ貝である。
実際に函館湾では、1平方メートル当たり
数個から数十個生育しており、ホッキ貝、
つまり漁師は河川の恩恵を受けている
ことが明白である。
気仙沼湾でもコンブ、ワカメ、ホタテの
養殖が沿岸をビッシリ埋めつくしている。
これらを生長させる栄養素がどこから
供給されるかというと、
湾に流入している河川からと推測される。
このように、陸の森林が豊かなら、
海の生物が豊かになる。
逆に、陸の森林が貧しければ、
海の生物まで貧しくなるのである。
〇植物プランクトン・海藻に欠かせない鉄分
■似ている血清成分と海水成分
人間の血液成分と海水成分とはよく似ており、
このことも生命誕生が海であったといわれる
ゆえんである。
重金属(比重が4以上の金属)中、
鉄が人間の体内で一番多いが、
これは海で生命が誕生したとき、
海水中で最も濃度の高い元素であった
ことに起因していると思われる。
人間の体内では、
鉄は赤血球中のヘモグロビンと結びついて
身体の各組織に酸素を運ぶ役割をしている。
多くの重金属は酵素の中心元素であったり、
酵素の活性を高めるといわれている。
海水中では植物プランクトンや海藻を
増やさなければ、それに続く貝、魚は増える
ことができない。
海水中では窒素は安定した硝酸塩、
リンはリン酸塩という無機の形で水に溶けて
いる。
これは生体を構成するのに必要なタンパク質、
ATP(アデノシン三リン酸)などを生合成
するのに不可欠な成分である。
藻類(植物プランクトン)や海藻が
この硝酸塩を取り込むと、
これを還元しなければならず、
その還元には硝酸還元酵素が必要であり、
鉄はこの酵素に大きく関与している
からである。
ほかに、光合成をする生物には
クロロフィルなどの光合成色素が不可欠で
あるが、これらの生合成に鉄は極めて大きく
関与しており、
鉄なしではこれらの色素は生合成されない。
陸上の植物も全く同様で、
植木の土壌に釘をさしたりするが、
これは鉄を供給する意味で理にかなっている。

<森と海をよみがえらすには>
〇山に木を植える漁民
■魚が戻ってきた!
北海道えりも岬の例が植林と漁場の関係を
最もよく表している。
300年前のえりも岬は広葉樹の原生林で
覆われ、すでにアイヌの人々がここで
生活していた。
明治以降本州から入植者が増え、
燃料として森林が伐採され、さらに放牧地の
開拓などにより森林が失われ、
また草地も家畜の過放牧や風や雨の浸蝕に
より年々荒廃が進んだ。
荒廃が進むにつれ、
土砂が流出することにより、沿岸の根付魚
(一生沿岸で過ごす魚)をはじめ回遊魚も、
そこを回避するようになり、漁獲は減少の
一途をたどった。
一方、コンブなどの海藻も岩盤が泥で
覆われて根腐れを起こして採れなくなって
しまい、生育の場の消滅とともに、
魚の水揚げが激減し、かつての好漁場が
消滅したのである。
これは、森林伐採により、
腐植土層が流出したために下層の無機質層
が風雪によってあらわになってしまった
ものである。
草木1本もない赤土のハゲ山は「えりも砂漠」
といわれていた。
また、この岬では
平均風速が秒速10メートルを越える日が
年間270日くらいもあり、
赤土は沖合10キロメートルにも飛散し、
ちょうど瀬戸内海の赤潮のごとく海面を
染めていたのである。
この微細な赤土はコンブに付着すると、
コンブは枯死してしまうため、
岩盤が泥で覆われていない沿岸でも、
この赤土の飛砂により、コンブが枯死して
しまったのである。
むろんコンブの消滅はウニなどの激減を
もたらすことになった。
えりも岬の場合は、
明らかに森林の伐採、それに伴う土砂の
流出により漁獲が減少したことは明らか
であり、漁獲の減少は森林の崩壊と
断定できた。
昭和に入り、住民の強い要望で緑化事業は
道庁によって実施されたが、
昭和28年には浦河営林署に
「えりも治山事業所」が新設され、
えりも国有林緑化の第一歩を踏み出した。
この草本緑化は昭和45年にほぼ完了し、
192ヘクタールを緑化した。
草が根づいたところから木を植える
木本緑化を昭和29年から実施して、
1992年には砂漠化した約70%に
当たる131ヘクタールの森林が
蘇っている。
このように官民一体となり半世紀をかけて
やっと森林らしさを蘇らせたことになるが、
森林らしさと述べたのは、
森の10年は人間の1歳に相当するから、
えりも岬の森林はまだ4~5歳の幼児に
しか過ぎないからである。
かつての森林に戻すにはこれから数百年
かかるともいわれている。
この緑化事業前後にわたる魚介類の
水揚げ高は、緑化前に比べ現在は
約250倍の水揚げがあるにもかかわらず、
岬は魚つき保安林ではない。
単に飛砂防備保安林である。
なぜなら、魚つき林の効能が世の中に
認められていないからである。
緑化後、冬から春にはウニ、カニ漁を、
夏にはコンブ、秋にはサケ、マス漁と
海の資源回復によって一年中働くことが
可能となった。
■“森は海の恋人”
最後に宮城県気仙沼の畠山重篤氏が
代表を務める「牡蠣の森を慕う会」の
緑林活動を述べよう。
畠山氏はカキやホタテ貝の養殖ひと筋に
30年間漁業を営んでいたが、
海が年々変化してきたことに気づいた
のである。
それは、海の生物がわずか20年で
著しく減ってきていることであった。
また、気仙沼湾に流入している大川の
水量が極度に変動してきた。
雨が降れば、洪水のように水量が増加し、
日照りが続くと水量が著しく減少して
しまう。
この要因が上流の森林伐採によるもの
であることに気づいた。
仲間の漁師を中心に「牡蠣の森を慕う会
」を発足させた。
そして1989年、大川流域にある
室根山に第1回目の植林として
苗木2,000本を植えたのである。
また、「森は海の恋人」のシンポジウムを
開き、森林の意義、森林と海との関係
など一般市民に啓蒙し、
室根山の小学生を海に招き海と森林の
結びつきを教えたり、畠山氏自身
講師として講演活動を行っている。
松永勝彦
1942年、三重県生まれ。立命館大学理工学部化学科卒業。大阪大学大学院工学研究科修了。
理学博士。1986年から北海道大学水産学部教授。森林が湖、沿岸海域の生物生産に果たす
役割について、これまで研究を続けてきた。
研究は学生も教授も平等でなければ学問の進歩は止まるという信念で、人間と自然との共存を
目指した研究を続けている。
1992年に創設され、環境の研究にたずさわる研究者に贈られる第一回環境水俣賞を受賞。
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