小泉武夫教授 発酵とは

今日は「発酵」についてのお話です。
発酵のお話とはいっても、専門的なことや詳しいことなどには触れずに、
発酵の概念と言いますか、発酵とは何ぞや?について簡単にお伝えしたい
と思います。
私がつくっている発酵水も微生物発酵(酵素発酵)によってつくられます。
(詳しいことはHP及びブログの過去記事をご参照ください)
26年前にこの仕事を始めたとき、一番最初に発酵について勉強し始めた
本が東京農業大学名誉教授の小泉武夫さんの『発酵』でした。
小泉武夫さんは言わずと知れた世界の発酵の第一人者で、ご存じの方も
多いかと思います。
この本は、発酵について知りたいという方の入門書には、うってつけだ
と思います。
また最近は発酵について、各々の専門家たちが様々な情報を提供して
いますが、私はこの著書から勉強してすそ野を広げて現在に至りましたので、
ぜひ皆さんにもおすすめしたいと思いました。
少しでも皆さんの参考になりましたら幸いです。
※2020年07月7日投稿の再掲載
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『発酵』小泉武夫著 中公新書
ミクロの巨人たちの神秘
「発酵」とは英語でfermentationである。
これはラテン語のfervereから生まれたもので、その意味するとことは
「湧く」である。
おそらく、アルコール発酵の際に生じる炭酸ガスが泡となって盛り上がる現象を
さして、こう名付けたのであろう。
だが、発酵とはそんなに簡単なものばかりを指すのではなく、今日では非常に
広範囲な微生物の応用を総称した意味に使われている。
その今日的発酵を筆者なりに定義すると、
細菌類、酵母類、糸状菌(カビ)類、藻菌類などの微生物そのものか、
その酵素類が有機物または無機物に作用して、
⇒メタンやアルコール、有機物のような有機化合物を生じたり、
⇒炭酸ガスや水素、アンモニア、硫化水素のような無機化合物を生じ、
なおかつその現象が人類にとって有益となることとなる。
したがって、その発酵作用を応用した工業の領域の中には、
⇒私たちの身近にみられる酒類やアルコールの醸造、発酵食品産業のみならず、
⇒有機酸、アミノ酸、核酸関連物質、抗生物質、生理活性物質、糖関連物質、
酵素製剤、微生物タンパク質などの発酵工業も含まれ、またそのような工業的
領域を超えて、
⇒人間をとりまく自然界における環境浄化という重要な微生物活動もまた、
発酵の分野に入ることになる。
もしも、人類社会にとって発酵という微生物の巨大な恩恵がなかったならば、
人類はもちろんのこと、動物や植物までもこの地球上に存在しないことに
なるのは、十分に理解されることだろう。
とかくこれまで「発酵」というと、酒やチーズの製造といったごく限られた
狭い範囲内でとらえられてきたが、もっと大きな視点からこれを見つめる
ことにある。
■今日的発酵の定義
今日、「発酵」の意味を改めて整理してみるとき、
150年前にパスツールが「発酵とは微生物の無酸素状態下での呼吸作用に
伴うエネルギー獲得手段」とし、
そして120年前にブフナーが「発酵は微生物によってつくられた酵素と
いう化学物質が起こす触媒反応」とした。
これらの基本的考えを固定しながら、さらに広範囲な定義をこれに加え
なければ、もはや今日的発酵の説明は難しいものとさえなってきた。
すなわち、パスツールやブフナーの当時は、アルコール発酵や乳酸発酵、
酢酸発酵といったオーソドックスな発酵ばかりであったものが、その後、
リンゴ酸発酵、グルコン酸発酵といった有機酸発酵や、アミノ酸や核酸の
ような呈味物質の発酵生産、ビタミン類やステロイド及びアルカロイド、
ホルモンといった生理活性物質の発酵生産、抗生物質や制ガン剤のような
医薬品の発酵による製造、様々の酒類や発酵食品製造、そして微生物菌体
からなどとタンパク質の生産、さらには菌体からの酵素の生産などといった、
実に複雑多岐に及ぶ様々な発酵へと発展してきたからである。
発酵の意義や定義も、昔のそれに比べ、さらに広く解釈される必要に
迫られたのも当然というべきものである。
これまでの発酵の定義の中では「無酸素状態下で起こる有機物の分解」を
特に強調していた。
しかし、今日の発酵を見る限り、必ずしもこの定義にあてはまらない
発酵が大変多くなってきた。
例えば、無酸素状態で起こる典型的な発酵はアルコール発酵、乳酸発酵、
酪酸発酵、アセトンブタノール発酵などであるが、黒麹カビでのクエン酸発酵、
クモノスカビでのフマール酸発酵、細菌によるグルタミン酸発酵や各種の
アミノ酸発酵などは逆に酸素の必要な発酵である。
従って後者の場合は、酸素を必要とする点でこれまでの発酵の定義と
合わないが、人間にとって大量の有用物質が生産される点から今日では
これを発酵の領域に入れている。
また、ビタミンや抗生物質、ステロイド化合物といった類の発酵生産でも、
やはり酸素存在下で生産が行われ、またその有用物質は微量にしか生産されず、
二次生産物質にとどまっているが、このような場合は、その生産物質が
人間にとってきわめて価値の大きなものであるから、発酵の領域に入れている。
要するに、微生物の持っている機能を広く物質生産に応用して、人間の
有益なものに利用することを今日では広く発酵と呼ぶことにしている。
従って、微生物の地球的役割の数々も、微生物の機能が間接的に人間に
有用な環境をつくりだしていることとみることができ、たとえそれが人間の
意識の下で行われているものでなくても、発酵の領域と解釈を広げたのである。
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