見えない境界線―根と大腸は同じ働き

この世界は相似形だとつくづく思います。
私がいつもお話するのは、海藻が群生している「海の森」(藻場、海中林
とも言います)をイメージしてみてください。
海中で海藻が波に揺られてユラユラと漂っていますよね。
実は海藻は体全体(藻体)にある小さな入り口のイオンチャネルから、
自分の成長と繁殖に必要なもの不要なものを自由選択的に選り分けて、
取り込んでいます。
これがそっくり、私たちの小腸に絨毛細胞として備わっていて働いています。
そして、今日ご紹介する『土と内臓』(微生物がつくる世界)では、「植物の根」と
私たち「ヒトの大腸」は同じ働きをすると教えてくれます。
これまでは「海の植物」と「人間の小腸」が相似形であること。
そして本書から新たに「大地の植物」と「人間の大腸」が相似形であることを
知りました。
詳しいことは、本書より一部抜粋してご紹介させていただきますので、
参考にしてください。
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『土と内臓』微生物がつくる世界
ディビッド・モントゴメリー+アン・ビクレー著
築地書館
見えない境界線 ― 根と大腸は同じ働き
ヒトマイクロバイオームが私たちの免疫機構に欠かせないように、植物の
根の内部やまわりに棲む微生物は、植物の防御機構のために欠かせないものだ。
人間は植物と同じ生物学的防衛戦略に組み込まれている。
いずれも特殊化した領域 ― 植物なら根圏、人間なら大腸 ― に、微生物を
呼び寄せる栄養を用意する。
これらの部位は、微生物が植物や人間と栄養を交換し協力関係を結ぶ市場と
して機能する。
本書執筆の準備をしていて偶然見つけた論文の一つに、大腸細胞の粘膜内層の
滲出液をエサにする腸内微生物についての記述があった。
大腸の滲出液だって?滲出液は植物界の話じゃないのか?
そのときひらめいた。根は腸であり腸は根なのだ!
腸内細菌と土壌細菌の多くが共通して腐生菌・サブロファイト(ギリシャ語
語源でサブロは腐ったもの、ファイトは植物を表す)の系統にあることは、
おそらく偶然の一致ではない。
いずれの場所でもそこにいる細菌は、死んだ植物質を分解することに特殊化
しているのだ。
植物の根を、根菌も何もかも一緒に裏返ししたとすれば、それが消化管に
似ていることに気づくだろう。
この二つは多くの点で平行宇宙だ。
土壌、根、根圏をまとめた生命活動とプロセスは、腸の粘膜内層と関連する
免疫組織と鏡写しだ。
腸はヒトにとっても根圏、私たちの体の中で、ある目的のために受け入れた
微生物がとてつもなく豊富な場所だ。
消化管の細胞が腸内微生物と相互作用し、根細胞は土壌微生物と取引をする。
人間界と植物界は共通する主題を持つ―微生物との活発な伝達と交流だ。

だが腸と根とはもっと深いところでつながっている。
私たちの歯は土壌中のデトリタス食動物と同じように働き、有機物を
かみ砕き小さくして、他の生物が分解過程を続けられるようにする。
胃酸は土壌に棲む菌類の酸のように機能し、食物を吸収できる分子にまで
分解する。
小腸は、植物の根が水に溶けた養分を吸収するようにして、栄養を吸収する。
小腸の内側は絨毛と呼ばれる繊維のような小さな突起で覆われている。
これが、ちょうど土壌中の根毛のように表面積を何倍にも増やし、
栄養吸収を大幅に向上させる。
大腸の大釜の中では、根圏のように、微生物が宿主にとって欠かすことの
できない代謝産物と物質を作っている。
小腸と大腸の壁にある胚細胞は、厚い粘液層をつくって他の細胞を保護し、
内腔の内容物が動きやすくする。
かつて科学者は、大腸が粘液を作る理由はこれだけだと思っていた。
その後、細菌が粘液の中で棲息し、粘液を食べていることが発見された。
それは、植物が根圏に棲む微生物のエサとして根細胞の表面から放出する、
糖質が豊富な滲出液に似ている。
人間の内なる土壌に棲む細菌の大群は、消化されなかった植物質や死んだ
大腸細胞だけでなく、粘液も食べる。
引き替えに、その代謝産物は大腸の栄養となり、その存在は病原体を抑制する。
私たちの微生物のパートナーが、私たちが食べたものを材料にして有益な
化合物や防御物質を作る様子は、根圏微生物叢と根の相互作用とそっくりだ。
有機物を分解する土壌生物は、栄養が植物へと滞りなく流れるようにする。
これは、大腸内の細菌が複合糖質を有益な化合物(SCFAのような)に変える
のを思わせる。
いずれの場合も、植物性有機物に富む食事が、健康と繁栄に欠かせない
重要な栄養をもたらす。
一方、単純糖質と単一の無機質肥料は生長を速めるが、植物の ― あるいは
それを食べる人間の ― 健康の土台となる栄養をすべて供給するわけではない。
根は食物を求めて土の世界を突き進むが、人間は外部の環境を直接体内に取り込む。
外部の環境中の有害化もしれないもの(そして実際に有害なもの)すべてを考えると、
これはきわめてリスクが高い。
私たちの腸は、植物の根のように、遭遇するさまざまな物質 ― 飲んだり食べたり
したもの ― をふるいにかけ、食べ物、敵、味方を区別しなければならない。
腸とその内容物の、そして根と土壌の境目は、すべても栄養が越えなければ
ならない目に見えない境界線を引く。
微生物は仲介者、地球上でもっとも小さい運送業者だ。
化学は境界線を越える積み荷を決めるが、生物学は生命の根底となる取引の
活気を保つ。
大腸の横断面をよく見ると、細菌の細胞が自分自身の細胞と肩を並べていて、
どこで一方が終わってもう一方が始まるのかはっきりしないことがわかる。
有益細菌がおそらく自分の大腸陰窩にしまいこまれていることを、少し
考えてみたい。
菌根菌が植物の根に入りこんで細胞のあいだに割り込んでいるところを
考えると、この様子は植物とかなり似ていないだろうか。
微生物と植物の ― そして微生物と人体の ― 進化的適応は複雑で、驚くべきものだ。
いずれの場合でも、根あるいは腸との目に見えない境界線にある土壌の質と、
それを私たちが汚染するのか、無視するのか、涵養するのかが、植物と
人間どちらの健康にとっても大きな意味を持つのだ。
根と腸それぞれの微生物相の役割がきわめて似ていることは、基礎的でもあり
普遍的でもある関係を暗示している。
いずれの場合でも、微生物の集団が宿主の生存に欠かせない二つの要素 ―
食物を手に入れることと、敵から身を守ること ― を助けているのだ。
見返りに微生物は、望みうる最高の生息地である、常に食物が豊富で安全な
空間 ― 微生物が繁殖し、快適に暮らす上で理想的な場所 ― を手に入れる。
植物の中であれ人体内であれ、宿主と小さな借家人の双方に有益な
協力関係を築く微生物に対して、進化は有利にはたらいてきた。
これはおそらく偶然ではない。
この世に登場して以来、人間は共生生物を身体に住まわせてきたのだ。
私たちの内なる土壌に棲むのと同じ種類の微生物は、土壌中にもいて
植物の病気を抑えるのに役立っているものがいる。
この単純だがこれまで注目されなかった事実が、農業と医療をどのように
再構築するかの根本である ― つまり、太古からの友の協力をあおぐのだ。
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