発酵水は、母なる海の恵みの日本在来の天然海藻(緑藻類・褐藻類・紅藻類)
およそ30種類を独自製法で長期自然発酵させて、手づくりで原液づくりをしている発酵飲料です。

食の匠 熊谷英美子さん 厳冬期、ドングリで命をつないだ「したみにぎり」



「したみにぎり」 岩手県ホームページより


過去記事で『縄文時代の主食「どんぐり」の食べ方と凄い効果』(2024.10.25)をご紹介しましたが、たくさんの方に興味を持っていただいて嬉しく思います。

今日は寒さが厳しい岩手県に、古くから伝わるドングリの郷土料理「したみにぎり」をご紹介させていただきます。
しかもドングリの発酵食品だということを知って、とても嬉しくなりました。
ぜひ、食べてみたいと思いました。

ちなみに、岩手県には「食の匠」というユニークな啓蒙活動があり、県内の多様な食文化を伝承し、地域活性化や住民同士の交流促進につなげているとのこと。
そのうちのお一人、熊谷英美子さんがドングリを使った「したみにぎり」のつくり方を教えてくれています。

それでは、取材された読売新聞オンラインさんの記事を転載し、ご紹介させていただきます。
画像付き記事は下記のアドレスからご覧になりご参照ください。

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厳冬期、ドングリで命をつないだ… 岩泉町・熊谷英美子さん「したみにぎり」
読売新聞オンライン 2024/06/12 05:00
https://www.yomiuri.co.jp/local/iwate/feature/CO075740/20240611-OYTAT50017/


全国2位の面積を誇る県内は、沿岸や内陸各地に様々な食文化が根付いている。そんな郷土料理を次世代に伝える県認定の「 食の 匠たくみ 」を記者が訪ね、飲食店では味わうことができない食の多様性や、先人たちが編み出した知恵に触れる。

画像 あく抜きしたドングリを丁寧に練り上げていく熊谷さん
ドングリが貴重な食料

山々に囲まれた寒冷な岩泉町に水田ができ、稲作が始まったのは、70年ほど前の昭和30年代だった。雪で閉ざされる冬場の食糧事情が厳しかった頃。 飢饉ききん に備える「 救荒きゅうこう 食」として、各家庭は栄養豊富なドングリを屋根裏に保存した。当時の厳しさを今に伝えるのがドングリの実を発酵させて固めた「したみにぎり」だ。

山深い同町大川地区で生まれ育った 熊谷英美子さん(62) は子どもの頃、祖母がドングリから採ったでんぷんで餅を作っている姿をうっすら覚えている。ドングリ料理の記憶はその一端だけで、味はもちろん、口にした記憶もほとんどない。

先輩から学んだ下処理の方法
数年前、菓子に加工されたドングリを食べた時、「そういえば」と思い出した。ドングリ料理に興味が湧き、食の匠として活動する地域の先輩からあく抜きの方法を習った。アレンジを加えながら取り組んだのが、郷土で親しまれた、したみにぎり作りだった。

貴重な栄養源だったドングリを使った「したみにぎり」
使用するドングリは、煮て乾燥させてから、皮をむいて保存する。重曹を入れた水に1日つけ、5~6時間煮込んであくを抜く。そして米こうじと混ぜてヨーグルトメーカーで15時間かけて発酵させる。かつて木灰やいろり端のかめを使って数日間かけて準備していた頃よりは楽になったが、実に根気のいる作業だ。

発酵後は、細かく砕いたドングリと合わせて弱火にかけ、ゆっくりと練り上げていく。手で丸めてようやく完成。ドングリ特有の苦みはほとんどなく、米こうじのほのかな甘みがふんわりと口の中に広がる。

『命をつなぐ食べ物』
昨年度、食の匠に認定された熊谷さんは、文献などをひもとき、かつての暮らしを想像する。「したみ」は漢字で「下味」と書くといい、「おいしいからといって食べたわけではなく、まさに『命をつなぐ食べ物』だった」と実感する。

熊谷さんは栄養源として重宝されたヒエやキビ、アワ、ソバを栽培し、「雑穀ランチ」を提供する予約専門の店「 飴あめ喫茶庵きっちゃん 」を町内で営む。健康志向のリピーター客も多いが、「岩泉では、木の実や雑穀は貧しさの象徴。『雑穀なんかいらねぇ』という人もいる」と複雑な表情も見せる。

厳しい環境で生き抜く知恵を蓄えた岩泉の先人たち。不自由ない食生活を送れる今がどれだけありがたいことか、身にしみた。

(随時掲載、黒山幹太)

「したみにぎり」のレシピは 県のホームページ で確認できる。

食の匠
県内の多様な食文化を伝承し、地域活性化や住民同士の交流促進につなげようと、1996年度に創設された。これまでに301の個人・団体が認定されている。

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熊谷英美子さんの「したみにぎり」(認定番号299、岩泉町)
岩手県のホームページより
https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/nougyou/takumi/1071126.html

「したみ」とはどんぐりのことで、地域では「しだみ」とも言われている。
岩泉町では古くから灰汁あく抜きした「したみ」を稗や麦、粟などの雑穀と混ぜて主食としたり、澱粉を餅にしたり、麹で発酵させてあんことして利用してきた。
また、乾燥した「したみ」は保存性があるため、農家の屋根裏等に保管され救荒食(異常気象や災害による飢餓に備えて備蓄し、利用する代用食物)としても利用されてきた。

昭和30年代頃までは、岩泉町には水田がほとんどなかったため、米の生産はなく、また、砂糖は貴重品であった。
畠山トキサ氏(元岩手県食の匠)によると、当時は炊いた大麦と自然の麹菌で麦麹を作り、ナラなどの木灰で灰汁抜きした「したみ」と湯を加えて、囲炉裏端の甕かめで発酵させ、そこに仕上げ用の「したみ」を加えて練り上げ、「したみにぎり」としていた。
現在、岩泉町で「したみ」を利用する場合は、砂糖を使うことが多いが、麹で発酵させたものは、自然で上品な甘味が特徴的である。

レシピ「したみにぎり」 (PDF 343.7KB)

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