大櫛陽一著 『高血圧の9割は正常です』

高血圧は病気のウソ!→病気ではなく症状
血圧は加齢や老化と共に変化し上昇していくのは自然であり正常である、と東海大学名誉教授の大櫛陽一さんは指摘されています。
ちなみに、昔は血圧の上は、90+年齢というのが普通でした。
例えば70歳の方でしたら、90+70=160で普通だったのです。
でも、それでは降圧剤はまったく売れないので、製薬会社がロビー活動に力を入れて、論文やデータを改ざんしねつ造して降圧剤の莫大な売り上げと利益をむさぼってきたのです。
でも欧米ではいち早くそれを止めさせて改善しましたが、信じられないことに日本はいまだにずっとそれを引きずっているのが現状です。
そんな悪名高い医療大国日本ですが、ようやく改善のきざしが見えてきて、この4月から上が160で下が100に改定されました。
70歳以上のほとんど過半数の方は、降圧剤を服用しているといいます。
百害あって一利なし、様々な副作用に見舞われているかも知れません。
ちなみに、亡き私の両親や親しい周りの人たち、お客様たちには降圧剤の服用を止めてもらって、皆さん例外なく心身の調子が良くなり喜んでいただいています。
「医療マフィア」という言葉は時々私も使いますが、その最たるものが「高血圧マフィア」なのです。
もちろん、ワ〇〇〇マフィアも負けてはいませんが...
高血圧を気にしている方や降圧剤を服用している方は、ぜひ高血圧病の闇とそれに仕組まれた医療ビジネスの実態を知っていただき、参考にしていただけましたら幸いです。
それでは、『高血圧の9割は正常です』の本の中から、一部をご紹介させていただきます。
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『高血圧の9割は正常です』
大櫛陽一著 ダイレクト出版
日本の高血圧の基準は科学的根拠に基づく基準や欧米の基準と大きく異なっています。
日本の特定(メタボ)健診では収縮期(最大)血圧が130mmHg、拡張期(最低)血圧が85mmHgを超えると「高血圧(要指導)」とされ、さらに収縮期140mmHg/拡張期90mmHg以上で「受診勧奨(要医療)」と判定されて、医療機関を受診するとほとんどで降圧剤が処方されます。
職場健診や人間ドックでも、この基準を使わないとペナルティを課せられたり補助金が支給されなかったりします。
しかし、2004年に日本人70万人の健診結果から世界標準の方法で求めた男女別年齢別基準範囲では、男女とも55歳以上の収縮期血圧と拡張期血圧の上限値は160mmHg/100mmHg前後なのです。
2008年に発表した住民追跡調査でも、死亡率の上昇が認められたのは60歳以上のみで収縮期血圧と拡張期血圧が160mmHg/100mmHg以上でした。
2019年に発表された英国政府のガイドラインでも精密検査が必要とされるのは収縮期160mmHg/拡張期100mmHg以上です。
また、自由行動下血圧の測定や画像検査などをしてから降圧剤が検討されます。
日本の現基準では健診受診者の半数が降圧剤の適用とされていますが、英国の基準では5%前後と10分の1になるのです。
ここまで書いた時にビッグニュースが飛び込んできました。
2024年4月から、特定(メタボ)健診における高血圧での受信勧奨の判定基準(mmHg)が「収縮期160mmHg/拡張期100mmHg」へと変更されるというのです。
特定健診には国内外から多くの批判が続いていましたが、厚労省は16年間も間違いを認めてきませんでした。
代表的な批判は「メタボは生活習慣のバロメーターなので治療の対象としてはいけない」、「腹囲の基準が男性85cm、女性90cmなのは奇妙だ」、「判定値が低すぎて多くの偽陽性となっている」などです。
変更せざるを得なくなった背景には、耐えられなくなった医療費の高騰があります。
厚労省は2008年に医療費削減策として特定(メタボ)健診・保健指導を開始し、職場健診や人間ドックでも同じ基準を使うように指導してきました。
しかし、その後は過剰診断や薬物副作用により医療費の伸びが加速してしまいました。
特に開業医の所得平均が2160万円と、他の職種での所得が増えない中で目立っています。
しかし、日本医師会は従業員の賃上げのために診療報酬点数を上げることを求めています。
このせめぎ合いの中で、2024年6月から再診料を2点(1点は10円)、高血圧/高脂血症/糖尿病の生活習慣管理料を40点、それぞれ上げる代わりに、月2回から1回の算定とします。
すでに、2022年に3回まで繰り返し使えるリフィル処方箋が制度化されており、再診回数が減少しています。
2024年4月からも収縮期140mmHg/拡張期90mmHg以上を受診勧奨判定値として残していますが、カッコつきで(判定値を超えるレベルの場合、再検査や生活習慣改善指導などを含め医療機関での管理が必要な場合がある)との注意書きを入れました。
さらに「すぐに医療機関の受診」は収縮期160mmHg/拡張期100mmHg以上と明記しました。
収縮期140~159mmHg/拡張期90~99mmHgは「生活習慣を改善する努力をした上で、数値が改善しないなら医療機関の受診を」と、むしろ受診を抑制しています。
日本的な曖昧な表現ですが、健診で収縮期140mmHg/拡張期90mmHg以上でも受診しなくてもいいのです。
健保組合では健診の受診率や受診勧奨後の医療機関への受診率が低いと、ペナルティとして後期高齢者医療支援金が割り増しされます。
これらの率を上げるために、健診後の医療機関への受診を必死で要請していましたが、対象者が10分の1になるので、組合員へ強制をしなくてもよくなります。
健診からの過剰診断の患者が減少すれば、国民医療費も抑えられることになり、現役世代の負担も軽減されると思います。
また、降圧剤による副作用も大きく減少すると思われます。
日本人が最も多く飲んでいる薬は「降圧剤」(血圧を下げる薬)です。
厚労省の調査によると、70歳以上の過半数が常用しています。
驚かれるかもしれませんが、「医薬品添付文書」という医薬品の公式文書では、降圧剤には心臓病、脳卒中、腎臓病などの予防効果は認められていないのです。
製薬企業が多くの大学病院に研究費を提供して、これらの効果をねつ造した論文を作りましたが、薬事法違反(誇大広告)で逮捕されて裁判になり、論文はすべて撤回されました(いわゆるディオバン事件)。
つまり、降圧剤は血圧を下げますが、病気そのものへの効果は怪しいのです。
薬は異物なので、必ず副作用があります。
特に、高齢者では降圧剤の服用により脳梗塞の副作用があるため慎重投与と書かれているのです。
薬は、病気の予防や治療に効果があって、回復可能な副作用をしのぐ場合に服薬するべきなのです。
かつて欧米でも多くの種類の降圧剤が開発されて過当競争となり、薬を売りさばくために「高血圧マフィア」といわれた製薬企業のロビー活動が1990年代から米国合同委員会(JNC)や世界保健機構(WHO)などで行われて、高血圧の診断基準や降圧剤の使用法がゆがめられた時期がありました。
欧米では、20年前に「医師と製薬企業との経済的癒着」や「医学論文の」不正が内部告発されて、薬の認可のための治験の厳格化や診療ガイドラインの破壊的といわれる改革が行われました。
2004年にコレステロール低下医療の見直しから始まり、高血圧についても米国で2013年、英国で2019年に科学的根拠に基づく高血圧の新しい基準が制定されました。
ところが日本では「高血圧マフィア」によって作られた基準がいまだに使われているのです。
高血圧は病気ではなく、症状です。
日本で血圧が高いと原因を調べずに「本態性高血圧」として降圧剤が処方されています。
「本態性」というのは「原因不明」という意味ですが、原因を調べずに原因不明としているのは医師の怠慢です。
血圧が高くなる原因としては、加齢に伴う正常な変化が最も多いのですが、他の原因として腎臓疾患、貧血、心臓の弁膜症、血管の狭窄、副腎皮質腫瘍(原発性アルドステロン症)、甲状腺機能亢進症、交感神経腫瘍などが知られています。
加齢に伴って血圧が上昇するのは血管の老化を補完して脳などに必要な量の血液を送るために必要なのです。
また、腎機能が低下している時には血圧を上げて老廃物の排出を支援しています。
この時に腎臓の治療をしないで血圧を下げると腎機能がさらに悪化するのです。
また高血圧かどうかは、恣意(しい)的な基準で決められています。
欧米には特定健診(メタボ健診)、職場健診、学校健診などの検診制度はありません。
従って、毎年血圧測定および高血圧の判定をする習慣はないのです。
欧米では健診を実験的に行い、その統計学的評価を行った結果、個人および社会における効果が認められず、無駄かつ危険な検査や薬につながってしまうことが判明して中止されました。
日本では科学的評価をしないで続けているために、健康な人が異常(要指導、要医療)と判定されて、健康不安をいだいたり、危険な薬を飲まされたりしている場合も多いのです。
血圧の値は不安定かつ不正確なのです。
まず、市販されている血圧計の80%は不正確という報告が国際高血圧学会(ISH)で発表されました。
血圧を気にする人は検定試験に合格した血圧計を使うべきです。
血圧は常に変動しています。
緊張したり、運動や頭を使ったりする時、また寒さを感じる時にも血圧が上昇します。
リラックスした時、入浴時や暖かさを感じた時、食事やアルコールを摂取した時にも血圧は下がります。
降圧剤が最も高い血圧に合わせて処方されると、入浴時や飲酒時に血圧が下がりすぎて頭がボーとしたり失神したりするかもれません。
降圧剤で20mmHg以上血圧が下がると脳梗塞などによる死亡リスクになるという研究結果も紹介します。
日本人の血圧は最近50年間で約20mmHg低下しているのです。
また、経済高度成長期に動物性食品の摂取量が増えて血管が丈夫になり、脳卒中に占める脳出血の比率は95%から17%に減少して、高血圧の恐怖は少なくなっています。
逆に、脳梗塞の比率は80%になっており、今や高血圧より薬物による血圧の下げ過ぎのほうが危険なのです。
この本で説明する内容は科学的根拠(エビデンス)に基づいています。
この本では日本人70万人の健診結果から国際的に標準とされた統計的方法により、男女別・5歳ごとの基準範囲も示して、海外のデータと一致することを示しています。
加齢に伴う血圧の上昇が正常な変化であることを分かっていただけると思います。
それでも血圧が気になる人には、米国で開発された「新DASH」という食事法がありますし、運動もお勧めです。
生活習慣の改善には副作用はありませんし、血圧以外の健康増進にも役立ちます。
この本で詳しいやり方を解説しています。
大櫛陽一(おおぐしよういち)
東海大学名誉教授/大櫛医学情報研究所 所長
197年大阪大学大学院工学研究科修了。大阪府立羽曳野病院、大阪府立成人病センター、大阪府立母子センター、大阪府立病院などを経て、88年より東海大学医学部教授。
2012年より、東海大学名誉教授、大櫛医学情報研究所所長。
著書に『検査値と病気 間違いだらけの診断基準』(太田出版)、『メタボの罠』(角川SSC新書)、『コレステロールと中性脂肪で薬は飲むな』(祥伝社新書)、『100歳まで長生きできるコレステロール革命』(永岡新書)、近著に『血圧147で薬は飲むな』(小学館)、『高血圧のほとんどは薬はいらない!50歳・男性で155は正常値』(角川SSC新書)、『健康診断「本当の基準値」』(宝島社)、『長生きしたければ高血圧のウソに気づきなさい』(KKベストセラーズ)などがある。
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