「人類初サイボーグ」が世界に遺した軌跡
「人類初サイボーグ」と称されるピーター・スコット-モーガン博士が、先日亡くなられました。
すごいですね。人間の、人類の無限の可能性を識りました。
これまで東洋経済オンラインさんが掲載された、ピーター・スコット-モーガン博士の記事を9つご紹介させていただきます。
下記のアドレスからご覧になれますので、ぜひ参考にしていただけますと幸いです。
64歳で逝去「人類初サイボーグ」が世界に遺した物
東大教授追悼「ネオ・ヒューマンは生き続ける」
稲見 昌彦 : 東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野教授
東洋経済オンライン 2022年7月6日(水)
https://toyokeizai.net/articles/-/601582
人類で初めて「AIと融合」し、「サイボーグ」として生きる決断をしたピーター・スコット-モーガン博士(写真提供:著者)
全身の筋肉が動かなくなる難病ALSで余命2年を宣告されたこと機に、人類で初めて「AIと融合」し、サイボーグとして生きる未来を選んだピーター・スコット-モーガン博士が2022年6月、逝去された。
彼の挑戦を描いた自伝『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』は、NHK「クローズアップ現代+」で「ピーター2.0 サイボーグとして生きる 脳とAI最前線」としてとりあげられるなど、日本でも話題となっている。
ここでは、同番組でピーター博士と共演した稲見昌彦・東京大学先端科学技術研究センター身体情報学分野教授の追悼文を掲載する。
■ピーター・スコット-モーガンさんのご逝去に寄せて
2022年6月15日、ピーター・スコット-モーガンさんの肉体が安らかに息を引き取られたと、ご自身のTwitterで報告がありました。ご家族、ご近親の皆様に心からお悔やみを申し上げます。
『NEO HUMAN ネオ・ヒューマン――究極の自由を得る未来』
(画像をクリックすると、特設サイトにジャンプします)
ピーターさんの「肉体」とあえて記したことを、関係者の方々には許していただけるかと思います。
たとえ身体が旅立ったとしても、彼の精神(スピリット)が生きながらえることは、私を含めた支持者の願いであり、ご本人の遺志でもあったからです。しかも二重の意味において。
ピーターさんは、身体を次第に動かせなくなる難病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を患いながら、暗転した運命に果敢に立ち向かってきました。
彼の武器は最先端のテクノロジーでした。衰えゆく肉体の機能を人工知能(AI)とロボット技術で補う人類初のサイボーグ、「ピーター2.0」として生きる道を選んだのです。
その帰結の1つが、彼自身とAIとの融合です。
ともに生きるにつれて彼の思考法や感じ方を学んだAIが、次第に本人と見分けがつかなくなる将来を思い描いていたのです。
■AIとして、分人として
ピーターさんの生き様を記した著書『ネオ・ヒューマン 究極の自由を得る未来』では、肉体を失った後もAI「ピーター3.0」として生き続ける決意を表明していました。
ピーターさんのパートナーであるフランシスさんは、「AIを愛する史上初の人間になる」とまでおっしゃっていたほどです。
現在の技術が、彼のアイデアに追いつけたのかどうかはわかりません。
2022年6月末現在、ご本人のTwitterの更新は止まったままです。
それでも、AIとしてのピーターさんがプライベートに活動している可能性は否定できませんし、彼自身のケースが時期尚早だったとしても、AIによる人格の継続という構想は、後進の研究者に必ずや引き継がれていくはずです。
ピーターさんの遺志を継ぐという、もう1つの意味でのスピリットの継承は確実に果たされていくことでしょう。数々の開発の主体として立ち上げた財団「スコット-モーガン基金」の活動にとどまらず、彼の精神は難病に苦しむ多くの方々、医療関係者、さらには研究者やエンジニアにも影響を与え続けています。
私自身、そう感じます。
ご著書を読んだ以外は、NHKの「クローズアップ現代」に出演したご縁で会話を交わしたくらいの間柄ですが、「ピーターさんならこう考えるはず」「彼ならきっとこうする」と、ビビッドに思い描くことができます。
彼の思想に共鳴する誰しもが、そうでしょう。
いわば彼の「分人」は、フォロワー1人ひとりの心に今も息づいているのです。
■見えない壁を打ち壊す
ピーターさんはその生涯を通じて、世の中の固定観念をいくつも覆してきました。
言葉を換えると、確かにあるにもかかわらず、多くの人には不可視だった人間社会の壁と、一生を通じて戦ってきたとも言えます。
ALS、そして肉体の死を巡る攻防は、その1つにすぎませんでした。
少年時代の彼が直面したのが、性的マイノリティに対する偏見です。
イギリスの上流階級に生まれ、名門のキングス・カレッジ・スクールに通っていた彼は、同性愛者であることが明るみに出て、学校から屈辱的な仕打ちを受けます。
しかし、21歳になる直前にフランシスさんと出会ったピータさんは、同性カップルであることを隠さず交際を続け、2005年に始まった「シビル・パートナーシップ制度」によって、結婚した夫妻と同等の権利が認められたイギリス初の同性カップルになりました。
それだけでなく、制度に反対する勢力に抗うために結婚披露宴を開き、新しい時代の到来をメディアを通じて世界に知らしめたのです。
社会に出て経営コンサルタントになったピーターさんが目をつけたのは、企業における「暗黙のルール」でした。企業における語られないルール、そして変革を阻害する、見えざる障壁をそう呼んだ彼は、当時勤務していたコンサルティング会社で、企業をカルチャーごと変革するテクニックを提案します。
社内政治で潰されそうになりながらも、大口顧客を味方につけて形勢を逆転したピーターさんは、同社で最年少のジュニアパートナーに就任。
世界を股にかけて活躍し、著名コンサルタントとして独立を果たしました。
困難を前にした彼の行動を裏打ちするのが、将来に対する鮮明なビジョンです。
人はマイナスの状況に置かれたときに、なんとかイーブン、ゼロの状態に持っていこうとするものです。
しかし、ピーターさんは違いました。
逆境の先に、プラスの価値を生むビジョンを打ち立て、そこに向けて突き進んだのです。
性的な差別がないだけでなく、ありのままに自分らしく生きることに誇りを持てる社会。
旧弊を断ち切り、まったく新しい姿に生まれ変わる企業。
そして、難病患者に限らず、誰もが肉体の制約から自由になれる未来。
目先の問題への対処にとどまらず、創造的な解決策を打ち出すことは、私自身、コロナ禍におけるスローガンとして掲げてきたのですが、ピーターさんの歩みには、その真髄を見る思いです。
もちろんビジョンを語るだけならば誰にでもできます。
ピーターさんのすごみは、1人では歯が立たない難事業に多数の協力者を巻き込んで、大きなムーブメントにつなげていくことにもあります。
「ピーター2.0」の実現に向かう途上で、彼は協力を約束した団体や組織に裏切られたことがありました。
一時は絶望の淵に沈んだ彼は、一念発起して有能な人材の協力を1つひとつ取りつけ、独立して研究を進める財団の設立にこぎ着けます。
多くの人々を引きつけたのは、難病患者であることを感じさせないどころか、どこまでもポジティブな彼の態度です。
NHKの番組で私がお話しした際も、彼やフランシスさんの言葉の端々に現れる前向きな姿勢が、何より印象的でした。
ピーターさんの流儀が気になった方は、『ネオ・ヒューマン』を、ぜひ手に取ってみてください。
■人間拡張工学がもたらす自由
もちろん、誰もがピーターさんのようになれるわけではありませんし、無理をして目指すこともないでしょう。
それでも彼の生涯からは、1人ひとりの立場ごとに学びがあると思っています。
工学(エンジニアリング)に携わる1人として私が見習いたいのは、人類の選択肢を増やすような研究開発をすることです。
それによって人々をもっと自由にし、万が一生じたマイナスの事態を、ゼロからプラスに転じることができると考えるからです。
コロナ禍という想定外の災厄のもとでも多くの企業が事業を継続できたのは、Zoomなどの遠隔会議ツールがすでにあったおかげでした。
私は以前から海外との共同研究などで使っていたのですが、当時は多くの人にとって縁遠い存在だったはずです。
一見、世間離れした選択肢でも、それを用意しておくことで、いざことが起きたときに人々を助けることができる。
あるいは、新しいことにチャレンジする人にとっては、思いもよらぬ切り札になる可能性さえあります。
私の専門分野「人間拡張工学」では、第3や第4の腕、6本目の指、あるいは超人的な知覚などの実現を狙っています。
文字どおり腕や指の数を増やすということだけでなく、人の能力をどこまで拡張できるのかを探りながら、肉体の制約から人々を自由にしたいとの考えです。
障害のある方のサポートはもちろん、身にまとったテクノロジーによって自らの能力が拡張したかのように人々に感じてもらいたい。
ピーターさんも思い描いた物理的な身体からの解放を、私たちなりのアプローチで達成したいと思います。
ピーターさんの肉体と対面でお会いすることは叶いませんでしたが、いつかメタバースで「ピーター3.0」とお会いできること、願っています。
ピーターさん、勇気と希望にあふれる背中を私たちに示してくれて、どうもありがとう。
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人類初「AIと融合」した61歳科学者の壮絶な人生
「ネオヒューマン」の生活は喜びと希望に溢れる
藤田 美菜子 : 翻訳家
東洋経済オンライン 2021/06/11 4:30
https://toyokeizai.net/articles/-/431183
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多数意見に「のまれる人」「打ち勝つ人」決定的な差
「ネオヒューマン」はビジネスパーソン賛歌だ
井上 大輔 : マーケター、ソフトバンク株式会社 コミュニケーション本部 メディア統括部長
東洋経済オンライン 2021/07/16 9:00
https://toyokeizai.net/articles/-/437310
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東大教授が語る「人がサイボーグになる」の現実度
「ネオ・ヒューマン」が示す「未来の人類」の姿
稲見 昌彦 : 東京大学先端科学技術研究センター 身体情報学分野教授
東洋経済オンライン 2021/08/06 4:30
https://toyokeizai.net/articles/-/445238
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サイボーグ化で「究極の愛」貫く科学者の思考回路
ネオヒューマンが示す「万物を支配する愛の力」
渋川 駿伍 : Kakedas代表、起業家
東洋経済オンライン 2021/08/13 8:00
https://toyokeizai.net/articles/-/446222
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哲学者が語る「人がサイボーグになる」の深い意義
「ゼロ地点に立ち返る」ネオ・ヒューマンの思考
荒谷 大輔 : 江戸川大学基礎・教養教育センター教授
東洋経済オンライン 2021/09/01 9:00
https://toyokeizai.net/articles/-/450204
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これから「人を進化させる新技術」が次々生まれる
白熱対談!未来の人類「ネオ・ヒューマン」の姿
泉美 木蘭 : 作家・ライター
東洋経済オンライン 2021/10/28 8:30
https://toyokeizai.net/articles/-/463698
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「サイボーグになって幸せです」61歳科学者の肉声
「ネオ・ヒューマン」著者独占インタビュー:前編
ピーター・スコット-モーガン : 人類初「AIと融合」し「サイボーグ」として生きる英国人科学者
東洋経済オンライン 2021/11/25 5:20
https://toyokeizai.net/articles/-/466686
人類初サイボーグが告白「私がこの本を書けた訳」
「ネオ・ヒューマン」著者独占インタビュー:中編
ピーター・スコット-モーガン : 人類初「AIと融合」し「サイボーグ」として生きる英国人科学者
東洋経済オンライン 2021/12/03 5:00
https://toyokeizai.net/articles/-/466705
(後編に続く、翻訳:藤田美菜子)
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