海藻を食べるとなぜ体にいいの?
※静岡県御前崎海岸にて
10日前の6月8日(水)は国連が定めた世界海洋デーでした。
そして、今年のテーマは「海藻の交響曲」ということで思わずニンマリほくそ笑んでしまい、海藻にかかわる者としてとても嬉しくなりました。
ここ1ヶ月ほどですが、世界各地で海藻のイベントが行われるそうです。
私も海の野草・薬草の「海藻」(海草含む)の話題をご紹介していきたいと思います。
今日は、全国展開で「まごころ弁当」の宅配事業を展開するシルバーライフさんが、食材としておすすめの海藻について、栄養素や効能、調理法などをやさしくわかりやすく教えてくれていますので、ご紹介させていただきます。
(諸説ありますが)縄文時代よりも昔からご先祖様たちが食してつないできてくれた海藻の食文化ですが、その一つに「藻塩」があります。
まだ鍋も釜もなかった時代、海藻を直接火にくべて燃え残った灰の藻塩をつくり、食していたと言われています。
日本人の海藻離れが言われるようになってからずいぶん経ちますが、例えば児童の学校給食にもまったくのぼらなくなったという話も聞いています。
本記事が少しでも皆さんのお役に立てて、古くからの日本人の叡智の海藻を毎日の食生活に取り入れられて、より健やかで幸せな人生を楽しんでいただけましたら、この上なく幸いです。
なお、下記の記事は一部省略していますので、元記事の全文は下記のアドレスからご覧ください。
海藻を食べるとなぜ体にいいの?
株式会社シルバーライフ 作成日:2021年3月7日
https://www.magokoro-bento.com/blog/202103/why-is-seaweed-good.html
海藻はなんとなくヘルシーで体によさそうというイメージを持っている方は多いかもしれません。
ダイエット食としても人気の海藻ですが、どのように体にいいのか具体的に知らないままの人もいるのではないでしょうか?
今回は、海藻がなぜ体にいいのかを具体的に説明していきます。
目次
1. 海藻とはどんな食材?
2. 海藻のメリット
1) カルシウム
2) マグネシウム
3) リン
4) カリウム
5) 食物繊維
6) EPA
7) ヨウ素
8) ビタミン類
9) 鉄分
10)フコイダン
11)フコキサンチン
12)低カロリー
3. どういう人におすすめ?
4. 種類別の特徴とおすすめ調理法
5. 海藻についてのまとめ
1. 海藻とはどんな食材?
海藻とは、海で育つ藻のことを言います。
海の中に降り注ぐ太陽の光で光合成をおこなって、自分の成長に必要な栄養分や酸素を作り出しています。
そのため、太陽の光が入り込む浅瀬などの水深がそこまで深くない場所に生息しています。
海藻と海草は、同じ「かいそう」ですが、厳密に言うと違い、海藻は海の中で胞子によって増える根や茎、葉の区別がつかないもので、食用に利用されます。
食用以外にもシャンプーや化粧品などさまざまなものにも活用されています。
海草は、同じように海の中に生えていますが、種を作って増える種子植物で、海藻とは違って根や茎、葉の区別があり花を咲かせるものもあります。
海草は食用になることはありませんが、海の水をきれいにする効果があるとされており、海には欠かせない植物です。
海藻は、その色によって「紅藻類(こうそうるい)」「褐藻類(かっそうるい)」「緑藻類(りょくそうるい)」の3種類に分けられます。
紅藻類は、海藻の色が赤みがかっている海藻で、ゆかりやところてんや寒天の材料になるテングサなどがあります。
褐藻類は、褐色の海藻で昆布やわかめ、もずく、ひじきなど、日々の食卓に欠かすことができない海藻が褐藻類で有名です。
緑藻類は、アオノリや海ブドウ、アオサなどが代表的です。
2. 海藻のメリット
海藻には、特に栄養面で様々なメリットがあります。
海藻に多く含まれる栄養素についてまとめてみました。
1) カルシウム
海藻には、カルシウムが非常に多く含まれています。
カルシウムは健康的な歯や骨をつくる作用があります。
摂取したカルシウムの99%は骨や歯に貯蔵されます。
骨は実は常に古い骨が破壊され(骨吸収)、新しい骨が作られる(骨形成)というサイクルを繰り返しています。この骨吸収と骨形成は、幼少期や青年期では骨形成の方が優位に立っていますが、加齢と共に徐々にバランスが崩れて、骨が破壊される骨吸収の方が優位になってしまいます。
骨吸収の方が優位になると、骨がもろくなり骨折をしやすくなったりします。
特に閉経後の女性は女性ホルモンが減ってしまうことによって、このバランスが崩れやすく骨粗しょう症になりやすいと言われています。
幼少期には身体を作るためにカルシウムを摂らないといけないと言われますが、年を重ねてからも骨の健康のためにはカルシウムが非常に重要になります。
また、他にも血液を固まりやすくして血を止めやすくしたり、筋肉を収縮させるのに必要であったりします。
それ以外にも心臓の筋肉の機能を正常に保ったり、身体のイオンバランスを整えたりする役割もあります。
また、神経の興奮を抑制する作用もあるため、イライラやストレスなどを鎮めて気持ちを安定させてくれる作用もあります。
2) マグネシウム
マグネシウムには、カルシウムと同様に骨を強くする働きや神経の興奮を鎮める働きがあります。
他にも血圧をコントロールする作用や血液を固まりにくくして血栓(血の塊によって血管が詰まること)を予防する働きがあり、高血圧や脳卒中、心筋梗塞の予防に効果があると言われています。
マグネシウムはカルシウムと一緒に摂取することでお互いの働きを助け合うことができるので、マグネシウムもカルシウムも含まれている海藻は栄養的にとてもメリットが高い食材と言えます。
3) リン
リンはカルシウムやマグネシウムと結合して丈夫な骨や歯を作るために必要な成分の1つです。
他にも人間の身体の細胞の膜の成分になっていたり、細胞がエネルギーを作るために使用する物質を構成する要素であったりします。
心臓や腎臓の機能を維持する役割もあるため、リンは生きていく上で必要な栄養素です。
ただし、リンは摂りすぎるとカルシウムの吸収を抑制してしまうという特徴があります。
海藻はカルシウムもリンも含んでいるため、安心して食べることができます。
4) カリウム
カリウムには、過剰なナトリウムを排出作用があるため、塩分の摂りすぎを予防するために重要な栄養素です。
そして、ナトリウムとのバランスを取りながら血圧を調整したり細胞を正常に保ったりする役割もあります。
5) 食物繊維
食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維とがあります。
海藻に豊富含まれているのは、水溶性の食物繊維で、水溶性の食物繊維は、胃の中で水を含んでドロドロのジェル状になって消化管の中を進むので、お腹がすきにくく食べすぎを防ぎます。
また、腸内環境を改善させてお腹の調子を整える作用がある他、コレステロールの吸収を抑えて血中のコレステロール値を下げたり、血糖値の上昇を穏やかにする作用もあります。
そのため、肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活種感冒の予防にもなります。
海藻のすごいところは、水溶性の食物繊維だけでなく、不溶性の食物繊維も含まれているところです。
不溶性の食物繊維は腸で水分を吸収してふくらんで便のかさを増して便通を改善する効果があります。
また、不溶性の食物繊維は、しっかりと噛まないと飲み込めない食材に含まれていることが多いので、噛む回数が増えて満腹感を感じやすくなり食べすぎの予防にもなります。
6) EPA(エイコサペンタエン酸)
EPAは必須脂肪酸と呼ばれる、身体の中では合成することができない脂肪酸で、食品から摂取しなければならない栄養素です。
青魚に多く含まれているイメージですが、海藻にも含まれています。
EPAは血液をサラサラにしてくれたり、血液中の脂肪を減らす効果があります。
また腰痛や頭痛、腹痛などの痛みを抑える効果もあると言われています。
7) ヨウ素
ヨウ素は甲状腺ホルモンを作るために必要な栄養素です。
甲状腺ホルモンは、新陳代謝を活発にしたり、タンパク質の合成を促進する働きがあります。
しかし、ヨウ素は摂取しすぎると甲状腺の機能が低下してしまったり、中毒症を起こしてしまう可能性があります。
健康な人であれば、多く摂取しても尿や便と一緒に身体の外へと排出されるので特に問題はありませんが、気になる方は、少し長めに水にさらすことによって摂取量を減らすことができます。
8) ビタミン類
海藻には、目を健康に保ったり皮膚や粘膜を正常に保つ働きを持つビタミンAや、骨をつくったり血液が止まりやすくする作用のあるビタミンKが含まれます。
他にも糖質からエネルギーを作り出すのを助けたり、皮膚や粘膜の健康を維持するビタミンB1、B2、B3(ナイアシン)などのビタミン類も豊富に含まれています。
9) 鉄分
海藻の中でもひじきやのりなどには鉄分も多く含まれています。
海藻に含まれる鉄分は、非ヘム鉄と呼ばれる鉄分で、動物性のたんぱく質やビタミンCと一緒に食べることによって吸収率が上がります。
鉄分は、貧血を予防する効果があります。
10)フコイダン
フコイダンは昆布やもずく、めかぶなどに多く含まれるヌルヌルする成分のことで、免疫力を高めたり、抗酸化作用で老化を予防する効果があるとされています。
11)フコキサンチン
わかめや昆布などの褐色の海藻には、フコキサンチンと呼ばれる色素の一種であるカロテノイドが多く含まれており、抗酸化作用で老化を予防したり、脂肪の燃焼を促進する働きがあると言われています。
12)低カロリー
海藻は、これだけ栄養豊富であるのにカロリーが低く糖質もほとんど含まれていません。
体重が気になる人や生活習慣病を指摘されている人には、おすすめの食材と言えます。
3. どういう人におすすめ?
海藻はカルシウムやマグネシウムが豊富に含まれているので、成長期の子どもや、骨粗しょう症が気になる高齢の方におすすめの食材です。
また、食物繊維が豊富に含まれ、低カロリーでもあるため、肥満や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病が気になる方も積極的に摂取するとよいでしょう。
さらに血糖値の急上昇を抑制する効果もあるので、糖尿病の方にもおすすめです。
他にも海藻を食べるだけでカロリーを抑えつつ不足しがちなミネラル分や食物繊維を摂取することができるので、美容が気になる方やダイエット中の方にも最適な食材であると言えます。
4. 種類別の特徴とおすすめ調理法
1) わかめ
わかめは海藻の中でも食物繊維を多く含んでいるので、便秘の方や血糖値の気になる方、コレステロール値が高い方におすすめの食材です。
また、ビタミンKの含有量も海藻の中ではトップクラスですので、骨粗しょう症などが気になる方も積極的に摂取しましょう。
わかめは、癖がなく海藻の中でも食べやすいので、日常の食卓にも並べやすい食材です。
わかめは部位によって茎わかめやめかぶなどさまざまな種類があるので、バラエティに富んだ献立を立てることもできます。
2) 昆布
昆布は、海藻の中でもカルシウムが多く含まれているため、成長期の子どもや骨粗しょう症が気になる方には特におすすめの食材です。
しかし、昆布にはヨウ素も多く含まれているため、過剰摂取が気になる方は水にさらしてから調理するなど工夫するとよいでしょう。
また、昆布にはグルタミン酸と呼ばれるうまみ成分が含まれているので、出汁をとるためにも活用されます。
出汁をしっかりととることによって、塩分を多く足さなくても味に深みが出るため、食事を減塩させることもできます。
出汁をとった後の昆布は、つくだ煮にしたり刻んでサラダにしたり様々な楽しみ方があるのも昆布のよいところです。
3) ひじき
ひじきは、海藻の中でもカルシウムやビタミンが豊富に含まれています。
カルシウムは牛乳の約12倍ともいわれています。
ひじきは油と一緒に摂取することによってカルシウムやビタミンAなどの吸収率が高まるため、油揚げと一緒にひじき煮などにして食べると栄養を効果的に得ることができます。
4) あおさ
あおさは非常に多くの食物繊維とベータカロチンを含み、カルシウムも豊富に含まれています。
あおさは、同じ海藻類アオサ目アオサ科ですが、アオサ属があおさで、アオノリ属が青のりですので別物です。
一般的に青のりの方が食感や風味がよく高級品とされています。
あおさは、みそ汁などに入れて食すと非常においしくいただけます。
5) かんてん
かんてんは、紅藻類のテングサやオゴノリなどを煮溶かしてろ過した後に、粘液質を凍結・乾燥させたもので、カロリーがほとんどないのに、食物繊維が豊富に含まれており、便秘の解消やダイエット、生活習慣病改善に効果的な食材です。
ほのかに磯の香りがしますが、基本的には無味無臭であるため、組み合わせる食材の風味や味を邪魔することがありません。
そのため、おかずやデザートなどさまざまな料理で活躍することができます。
5. 海藻についてのまとめ
海藻は、海に生息する胞子で育つ食材で、紅藻類、褐藻類、緑藻類に分けられます。
海藻は低カロリー、低糖質であるのに、身体に必要なミネラルやビタミン、食物繊維が非常に豊富に含まれていて、その健康効果は絶大と言われています。
腸内環境を整えたり、免疫力を高めたり、生活習慣病の予防にも効果的であるとされています。
食生活が乱れていて、栄養バランスの取れた食事を摂りたいと考えている人は、おかずの中に1品でも海藻を含んだ献立を考えることによって、不足しがちな栄養素をバランスよく摂取することができます。
特に糖尿病の方や肥満の方など、摂取カロリーや血糖値の上昇、コレステロール値などが気になる方にはおすすめの食材です。
海藻は非常に体に良いですが、摂取のし過ぎはヨウ素の過剰摂取になったり、水溶性食物繊維の過剰摂取になってしまいお腹が緩くなってしまうこともあります。
海藻だけを食べればよいということではなく、さまざまな食材をバランスよく摂ることがとても大切です。
この記事の作成者:T.O(看護師)
この記事の提供元:シルバーライフ
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